メモ「いつもより具体的な本づくりの話を。」(著:北尾修一)

Web記事をねらう

ライツ社の取り組み

 僕たちは日本初の企画を考えるところをスタート地点に、それをまずWebメディアで記事にしてもらう→SNSで拡散→地上波テレビで紹介される、という流れを意識的に仕掛けています。

 たとえば世界のレシピ集という企画だったら、本が出る1カ月前にGoogleニュースで「世界レシピ」と検索するんです。

 話題になっている記事を10コくらいリストアップするんです。そうすると、やっぱり良いライターさんが書いてらっしゃることが多くて、良いライターさんの場合は署名記事になっている。

 で、その名前をコピーして、TwitterFacebookにペーストするとそのライターさんのアカウントが出てくるんです。そこから僕が直接連絡を取ります。

 基本的に日本初の企画だし、僕がどうしてもつくりたい本なので、ライターさんへの依頼レターはすごく書きやすいんです。「僕はこの本を、こういう目的でつくっているんです。ひとりでも多くの読者にひろめたいので、記事にしてくれませんか?」と。で、さらに「できれば以前こういう記事を書いていらっしゃった、この媒体でお願いしたいんです」と具体的な媒体まで指定すると、ほぼ9割くらいの確率で記事を載せてくださるんです。

 

 1枚ものを用意するのが大事です。

 Webメディアは、記事をつくる時に引きのある画像がないと困るんです。だから、こちらからPDFを提供します。たとえ活字メインの書籍でも、本をつくる段階で「このページを使ってもらおう」みたいなことを考えて、引きのあるページをわざと本の中に仕込んでおきます。

 そうすると、これがテレビで紹介された時に活きてくるんです。

 テレビって、書影だけ映されることが多いと思うんです。それで「書影をください」って連絡がきたときに、「ほかにこの画像も使えます。そしたら本の内容がすごくわかりやすくなります」ってディレクターさんに案内したら、ちゃんとそのページを番組で使ってくれるんですね。

 で、そのページにはたいてい、本全体のコンセプトが体現されているので、めちゃめちゃ(売上が)跳ねるっていう。

 

企画書

 特に気にするのは、企画書の論旨が順序だててつながっているかどうか、です。

A(現状)に対して、どのようなB(狙い)で企画を立てたのか。そのB(狙い)からどんなC(方針)が導きだされ、それを具現化するためのD(構成)はどのようなものか。その結果、どんなE(読者や世の中の変化)を目指すのか。

 

【仮題】フツーに方丈記

 

【著者】大原~著

 著者紹介

【現状】(A)

長引くコロナ禍で、生活が激変した方がたくさんいます。経済的に困窮し、メンタルの不調に悩まされる人々も見受けられます。コロナを契機に死を身近に感じ、あらためて人生観を見直した方も多いでしょう。

日本では、社会が大きく変動するタイミングで「方丈記」は繰り返しブームになってきました。もっともよく読まれたのは、戦中及び戦後まもなくの時期で、多くの作家や文化人が方丈記に共感し、xxx「鴨長明」、xxx「新方丈記」、xxx「方丈記私記」など、現在も参照される古典が数多く生み出されました。

また、東日本大震災後にも新井満「自由訳 方丈記」、xxx「無常という力「方丈記」に学ぶ心の在り方」、xxx「平成「方丈記」」などなど、方丈記ブームが起きました。そして、今回のコロナ禍でも、いま必要なのはやはり方丈記じゃないか? 作家・平野啓一郎さん、脳科学者・養老孟司さん、オリエンタルラジオ中田敦彦さんらからそんな指摘が相次いでいます。

 

【企画の狙い】(B)

1.もっとも読みやすい方丈記の入門書をつくる。

  現在入手できる方丈記の解説本は、なぜか60歳以上の男性執筆者のものばかりです。お勉強っぽかったり、説教くさかったりで、若い人が気軽に手に取れる本がありません。

2.コロナ禍を踏まえ、方丈記をアップデートする。

 3.11以降に刊行された「東日本大震災を踏まえた方丈記本」と同様、コロナ禍にた方丈記が効くことを実感できるような「方丈記」ヴァージョンアップを施します。

3. コロナ禍による著者の生活・人生観の変化を紹介する

 著者の隠居生活は、コロナ禍で崩壊しました。国境封鎖で台湾に戻れず、おまけにご両親が要介護となり、愛知県の実家をしばらく離れられません。もともと方丈記を愛読していた著者が、この生活の変化をどうとらえているかを紹介します。

 

【基本方針】(C)

1. 総ルビ付きで方丈記原文を掲載する。

2. 方丈記を現代口語に翻訳しなおす。

3. コロナ禍で著者が体験した変化を、エッセイとして書き下ろす。

 

【構成案】(D)

1. 方丈記原文(総ルビ)

2. あたらしい方丈記

3. コロナ禍に方丈記を読みながら考えたこと

 

【読むと読者はこう変わる】(E)

1・2 人間の悩みは800年前から何一つ変わっていない!

3 著者は隠居生活が崩壊しても飄々とフツーに生きている

4 誰でも生きているだけで丸もうけ!!

 

【仕様】

【予価と想定初版部数】

【発売日】

【惹句のイメージ】人生積んだ!?そんな時、方丈記は役にたつ。

 

つかみとオチ

 構成を考えるときに、特にこだわるのは冒頭とラストです。

 一般的に、本の冒頭には一番面白い話を持ってきます。

 で、それと同じくらい重要なのが、本のラストです。

 最後の一行で何を伝え、読者をどんな気分にさせるか。そのことによって、本の感想は変わってきます。俗な言い方をすると、本のラストはAmazonのレビュー評価に直結します。